2021年の箱根駅伝。アシックスのシューズを履いて走った選手は、なんと0人でした。
当時はナイキの厚底シューズが圧倒的な人気を誇り、出場選手210人のうち201人がナイキを着用していたのです。
ところが5年後の2026年、アシックスのシューズを履いた選手は60人にまで増えました。
変わったのは、ランニングの世界だけではありません。
かつては競技用シューズや機能性の高さで知られていたアシックスが、今ではファッションの世界でも注目されています。
2008年のランニングシューズを復刻した「GEL-KAYANO 14(ゲルカヤノ14)」などが、海外のスニーカーファンからも人気を集めているのです。
そして、その勢いは売上にも表れています。
2021年に約4,040億円だったアシックスの年間売上高は、2026年には1兆500億円に達する見通し。わずか5年で約2.6倍という成長です。
なぜ、アシックスはここまで人気になったのでしょうか。
長年培ってきたシューズ開発の技術、世界で評価されるようになったデザイン、そして海外市場でのブランド戦略。
調べていくと、これらが結びついて現在の急成長を支えていることが見えてきます。
この記事では、アシックスが世界で人気を集めるようになった理由を、実際のシューズの進化や最新の業績から紹介します。
さらに、私たちにも身近なウォーキングシューズが、今後どう変わっていくのかにも注目してみました。
この記事で分かること
- アシックスの売上が5年で約2.6倍になる背景
- 箱根駅伝で着用選手が0人から60人に増えた理由
- GEL-KAYANO 14などのスニーカーが人気になった理由
- 世界での成長とウォーキングシューズへの新たな展開
アシックスの売上は5年で約2.6倍に
2026年は初の売上1兆円台を見込む
まずは、アシックスの売上がどれほど伸びているのかを見てみましょう。
2021年の売上高は約4,040億円でした。
そこから毎年売上を伸ばし、2025年には8,109億円を記録しています。
さらに2026年8月、アシックスは年間売上高の予想を従来の9,500億円から1兆500億円へ上方修正しました。
この予想どおりになれば、2021年の約2.6倍です。
| 年度 | 連結売上高 | 区分 |
|---|---|---|
| 2021年 | 約4,040億円 | 実績 |
| 2022年 | 約4,846億円 | 実績 |
| 2023年 | 約5,704億円 | 実績 |
| 2024年 | 約6,785億円 | 実績 |
| 2025年 | 約8,109億円 | 実績 |
| 2026年 | 1兆500億円 | 通期予想 |
出典:アシックス公式IR資料。2021〜2025年は決算実績、2026年は2026年8月14日時点の会社予想。売上高は億円単位の概数です。
こうして並べると、成長の大きさがよく分かります。
2021年から2025年まで、すでに売上は約2倍になっています。
しかも、2026年上期(1〜6月)の確定実績は5,344億円。前年同期比32.7%増で、営業利益も1,204億円と前年同期を48.5%上回りました。
アシックスの急成長は、将来の期待だけではありません。すでに実際の業績にも大きな変化が現れているのです。
何がこれほど売れているのか
アシックスというと、ランニングシューズを思い浮かべる方が多いでしょう。
実際、ランニングは現在もアシックスの中心事業です。
ただし、近年の成長はランニングだけで起きているわけではありません。
アシックスの2026年上期決算を見ると、パフォーマンスランニングに加え、普段履きのスニーカーを扱うSportStyle(スポーツスタイル)や、オニツカタイガーも好調です。
| 事業カテゴリー | 2026年上期売上高 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| パフォーマンスランニング | 2,206億円 | 19.3%増 |
| SportStyle | 1,231億円 | 83.0%増 |
| オニツカタイガー | 895億円 | 35.9%増 |
| ウォーキング | 86億円 | 9.8%増 |
出典:アシックス「2026年12月期 第2四半期決算説明資料」。一部カテゴリーを抜粋。2026年から一部商品がパフォーマンスランニングからSportStyleへ移管されているため、SportStyleの83.0%増には分類変更の影響も含まれます。
競技で使うランニングシューズが売れ、街で履くスニーカーも売れている。
さらにオニツカタイガーは、世界的なファッションブランドとして成長しています。
これらが同時に伸びていることが、現在のアシックスの大きな強みになっています。
では、その成長の出発点となったランニングシューズから見てみましょう。
箱根駅伝でアシックスが復活した理由
2021年の着用者はまさかの0人
日本のランニングシューズといえば、昔からアシックスを愛用してきたランナーも多いはずです。
瀬古利彦さんや高橋尚子さんなど、日本の長距離界を代表する選手たちを支えてきた歴史があります。
ところが、2010年代後半から長距離レースのシューズに大きな変化が起こります。
ナイキが厚底のカーボンプレート入りレーシングシューズを展開し、多くのトップランナーが採用するようになったのです。
その結果、2021年の箱根駅伝では210人中201人がナイキを着用。アシックスは0人でした。
かつて日本の長距離界で大きな存在感を持っていたアシックスにとって、厳しい結果だったことは想像に難くありません。
しかし、アシックスはこの状況を変えるため、すでに新しいシューズの開発を進めていました。
社長直轄の開発チームが動き出した
2019年11月、アシックスはトップアスリート向けのシューズ開発を進める「Cプロジェクト」を発足させました。
トップアスリートが競技で力を発揮できるシューズを作るため、研究開発を強化する取り組みです。
ここから誕生したのが「METASPEED(メタスピード)」シリーズでした。
このシリーズで特徴的なのは、ランナーの走り方によって異なるモデルを用意したことです。
例えば、歩幅を伸ばして速度を上げるストライド型と、足の回転数を生かすピッチ型。
アシックスは、それぞれの走り方に合わせた靴底の設計を採用しました。
単に厚底にしたり、カーボンプレートを入れたりするだけではありません。
ランナーの走り方を調べ、その特徴を生かすシューズを作ろうとしたところに、アシックスらしい開発姿勢が表れています。
2025年には、さらに進化した「METASPEED SKY TOKYO(1013A162)」などが登場しました。
新しいフォーム素材「FF LEAP」をはじめ、軽さや反発性を追求した設計が採用されています。
参考:アシックス公式・METASPEEDシリーズの開発と新作発表
2026年の箱根駅伝では60人が着用
こうした開発の成果もあり、箱根駅伝でのアシックスの存在感は徐々に回復しました。
2026年の第102回箱根駅伝では、210人中60人がアシックスを着用しています。
着用ブランドの内訳を見てみましょう。
| メーカー | 着用人数 | 割合 |
|---|---|---|
| アディダス | 75人 | 35.7% |
| アシックス | 60人 | 28.5% |
| ナイキ | 35人 | 16.7% |
| プーマ | 31人 | 14.8% |
| その他 | 9人 | 4.3% |
出典:スポーツデポ「シューズから見た2026年箱根駅伝」。各ブランドの着用人数に基づき、割合を小数第1位に丸めて表示。
2021年には着用者が0人だったアシックスが、5年後には60人。
数字で見ると、その変化の大きさがよく分かります。
ただし、2026年のトップはアディダスです。アシックスが箱根駅伝を制覇したわけではありません。
また、箱根駅伝の着用人数だけで、シューズの性能の優劣が決まるわけでもありません。選手の好みや契約、所属チームの環境など、さまざまな事情が関係します。
それでも、ナイキに人気が集中していた時代から、複数メーカーが競い合う状況へ変わったことは確かです。
そのなかで、アシックスが再び有力な選択肢になっていることは、日本のメーカーとして頼もしく感じますね。
長年のシューズ技術が人気を支えている
アシックスには研究開発の積み重ねがある
アシックスの強みを考えるうえで欠かせないのが、シューズの研究開発です。
1985年には兵庫県神戸市にスポーツ工学研究所を設立し、人の体の動きやスポーツ用品の性能について研究を重ねてきました。
走っているときに足へどのような力がかかるのか。着地から蹴り出しまで、足はどのように動くのか。
そうした研究を、靴底の形状や素材の開発に生かしています。
普段シューズを選ぶときは、色や形、サイズなどに目が向きますよね。
ところが、その靴底の内部には、長年の研究から生まれた工夫が詰まっています。
競技用シューズの開発を続けてきたことが、現在のアシックスの技術力につながっているのです。
GELだけではない、靴底の進化
アシックスのシューズで有名なのが、衝撃を緩衝する「GEL(ゲル)」テクノロジーです。
かかとなどに配置することで、着地時の衝撃を和らげることを目的に採用されてきました。
現在のアシックスでは、GELだけでなく、さまざまなフォーム素材や靴底の構造を使い分けています。
例えば、ランニングシューズには軽さや反発性を重視した素材があります。
安定性を重視したモデルでは、着地時の足の動きを考えた靴底の設計が採用されています。
さらに、歩くためのウォーキングシューズでは、走るための靴とは違った工夫が必要です。
走るときは地面を強く蹴り出し、スピードを出すことが求められます。
一方、散歩や日常のウォーキングでは、自然な足運びや歩き続けやすさ、安定感などが大切になります。
アシックスの面白いところは、こうした用途の違いに合わせて商品を作り分けていることです。
靴は自分の足と用途に合わせて選びたい
アシックスのシューズには、長年の研究で培った技術が生かされています。ただし、同じアシックスでも、モデルによって設計や履き心地はさまざまです。
競技用のレーシングシューズと、日常向けのウォーキングシューズでは、求められる機能も違います。
クッションの柔らかさ、靴底の曲がり方、足幅、かかとの収まりなどもモデルによって異なります。
箱根駅伝で人気のシューズだからといって、普段の散歩にも最適とは限りません。
その反対に、競技用の性能を追求していない靴でも、日常のウォーキングには使いやすい場合があります。
大切なのは、自分がどんな場面で履くのかを考えることです。
メーカーの技術や商品の特徴を知ることは靴選びの参考になりますが、最後は自分の足と用途に合っているかを確かめたいですね。
アシックスのスニーカーはなぜおしゃれになった?
GEL-KAYANO 14が世界で人気に
近年のアシックス人気を語るうえで、外せないのがSportStyleです。
SportStyleとは、競技用シューズのデザインや技術を生かし、普段のファッションに合わせやすくした商品のカテゴリーです。
なかでも大きな注目を集めているのが「GEL-KAYANO 14(1203A537)」です。
もともとGEL-KAYANO 14は、2008年に登場したランニングシューズでした。
アシックスはそのデザインをベースに、2020年にライフスタイル向けとして復刻しています。
特徴的なのが、曲線を描くように重ねられたアッパーのパーツや、メッシュとシルバー系の素材を組み合わせたデザインです。
ひと昔前なら、いかにもランニングシューズという印象を持たれたかもしれません。
ところが今では、こうした2000年代のスポーツシューズを思わせるデザインが、ファッションとして人気を集めています。
「Y2K」と呼ばれる2000年前後のファッションや、アウトドア用品を普段着に取り入れる「ゴープコア」などの流れとも相性がよかったのでしょう。
競技用シューズとして生まれたデザインが、時代を経て新たな魅力として評価されたわけです。
昔のスポーツシューズのデザインが新たな魅力として注目されている点は、オニツカタイガーのMEXICO 66とも共通しています。
ただし、MEXICO 66はすっきりとした薄底のデザイン。一方、GEL-KAYANO 14は、2000年代のランニングシューズを思わせる立体的なデザインが魅力です。
同じアシックスグループでも、それぞれのデザインに個性があるのが面白いですね。
参考:アシックス公式・GEL-KAYANO 14復刻モデル発売
海外デザイナーとの協業も人気を後押し
GEL-KAYANO 14の復刻を語るうえで欠かせないのが、ファッションデザイナーのキコ・コスタディノフ氏です。
ブルガリア出身でロンドンを拠点に活動し、独創的なデザインで知られています。
アシックスは2018年から同氏との協業を続け、2020年にはパートナーシップをさらに強化しました。
キコ氏はSportStyleの商品づくりにも関わり、歴代のランニングシューズに新しい色使いやデザインを取り入れてきました。
その初期の代表例が「UB1-S GEL-KAYANO 14」です。
歴史あるランニングシューズをそのまま復刻するのではなく、新しい配色や素材の組み合わせによって、ファッションとしての魅力を引き出しました。
また、アシックスはKITHやJJJJoundなど、海外で人気のファッションブランドとも協業しています。
こうした取り組みによって、これまで競技用シューズにあまり関心がなかった人にも、アシックスの名前が知られるようになりました。
技術力のあるスポーツメーカーという評価に、おしゃれなスニーカーブランドという新しい魅力が加わった。
これが、近年のアシックス人気を考えるうえで大きな変化だと思います。
GEL-NYCにも歴代モデルの魅力が詰まっている
SportStyleで人気を集めているのは、GEL-KAYANO 14だけではありません。
「GEL-NYC(1203A897)」も、アシックスらしいデザインを楽しめるモデルです。
GEL-NYCは、過去のランニングシューズのデザインを組み合わせ、現代向けに再構成したスニーカーです。
公式商品ページによると、アッパーには2000年代初頭の「GEL-NIMBUS 3」や「GEL-MC PLUS V」のデザインを取り入れています。
一方、靴底には「GEL-CUMULUS 16」のデザインを使用しています。
つまり、ひとつの昔のモデルを復刻したわけではありません。
アシックスがこれまで開発してきた複数のシューズから、デザインの魅力を組み合わせているのです。
昔のランニングシューズを知っている人なら、どこか懐かしく感じるかもしれません。
若い世代には、パーツを重ねた立体的なデザインが新鮮に映るのでしょう。
競技用シューズの歴史が豊富にあるからこそ、こうした商品づくりができるのもアシックスの強みです。
世界で選ばれるブランドになった理由
海外のランニング市場で存在感を高めた
アシックスの成長は、日本国内だけで起きているわけではありません。
現在のアシックスは、売上の大部分を海外市場が占めるグローバル企業です。
2026年上期の決算でも、北米や欧州で大きな売上の伸びが報告されています。
特に欧州では、前年同期比46.4%の増収となりました。
こうした成長を支えているのが、ランニングシューズの販売と、SportStyleの商品展開です。
アシックスは、日常的に走るランナーから競技者まで、さまざまな人に向けたシューズをそろえています。
また、販売店との関係やブランドの見せ方にも力を入れています。
競技用としての信頼を高めながら、街履きのスニーカーでも新しい顧客を獲得する。
海外市場では、この両方が成長につながっていると考えられます。
機能だけでなくデザインでも選ばれるように
以前のアシックスには、技術力が高く、スポーツで履くためのシューズが得意なメーカーという印象が強かったかもしれません。
もちろん、現在もその特徴は変わりません。
ただ、SportStyleの人気によって、アシックスを選ぶ理由は以前より広がっています。
走るためにシューズを買う人もいれば、普段の服に合わせるためにGEL-KAYANO 14を選ぶ人もいます。
靴の技術に興味を持って購入する人と、デザインが気に入って購入する人。
両方に支持されるようになったことが、現在のアシックスの大きな変化です。
しかも、昔のモデルから生まれたデザインには、ほかのブランドでは簡単に再現できない歴史があります。
新しい流行を追いかけるだけでなく、長年蓄積してきたシューズのデザインを、新しい商品づくりに生かしているのです。
高価格帯の商品も成長を支えている
アシックスのスニーカーには、2万円前後、あるいはそれ以上の価格帯の商品もあります。
SportStyleでも、プレミアムな商品展開に力を入れていることが公式の決算資料から分かります。
シューズ選びでは、もちろん価格も大切です。
ただ、商品を気に入って購入する理由は、価格だけではありません。
長年のシューズ開発から生まれた独特のデザインや、素材の組み合わせ、ブランドへの信頼なども購入理由になります。
競技用シューズでは高い技術力を追求し、SportStyleではファッション性を高める。
それぞれの分野で商品の魅力を伝えられるようになったことが、アシックスの成長を支えているのでしょう。
もちろん、価格が高ければ必ず履きやすいというわけではありません。機能や素材、靴の構造はモデルによって違います。
購入する際には、好みのデザインだけでなく、どんな用途に向けた商品なのかも確認したいですね。
オニツカタイガーの成長も見逃せない
アシックスグループの急成長を考えるうえで、オニツカタイガーの存在も欠かせません。
オニツカタイガーは、1949年に始まった日本のスポーツシューズの歴史を受け継ぐブランドです。
2002年にファッションブランドとして再出発し、現在は世界の主要都市に直営店を展開しています。
代表モデルの「MEXICO 66」は、薄底のレトロなデザインが現在のファッショントレンドとよく合い、海外でも人気を集めています。
2026年上期の売上高は895億円。前年同期比35.9%増と、こちらも大きく成長しました。
ただし、ASICSのSportStyleとオニツカタイガーは、同じ商品カテゴリーではありません。
SportStyleは歴代の競技用シューズのデザインや技術を生かしたスニーカーを展開しています。
一方、オニツカタイガーはシューズだけでなく、アパレルやバッグなども含め、ファッションブランドとして独自の成長を進めています。
同じアシックスグループの中に、スポーツの技術で支持されるブランドと、ファッションで支持されるブランドがある。
この幅広さも、グループ全体の成長につながっているのでしょう。
次はウォーキングシューズが変わる?
アシックスがウォーキングの海外展開を開始
ここまで、ランニングとファッションの分野で成長してきたアシックスについて紹介しました。
では、私たちにも身近なウォーキングシューズはどうでしょうか。
実は、アシックスはこの分野でも新しい取り組みを始めています。
2026年8月の決算説明資料では、「ASICS Walking」をプレミアムブランドとして再構築し、世界市場へ展開する方針が示されました。
2026年後半から中華圏などで海外展開を開始し、商品や店舗の魅力を高めていく計画です。
アシックスのウォーキングシューズは、日本では長年販売されてきました。
ところが、海外ではランニングシューズほど広く知られていたわけではありません。
世界でアシックスの知名度が高まった今、そのブランド力をウォーキング分野にも広げようとしているのです。
海外ファッションメディアのVogue Businessも、2026年9月にこの新しい取り組みを取り上げました。
記事では、アシックスの廣田康人会長CEOが、ランニングなどで築いたブランドの基盤を生かし、ウォーキング事業を世界へ広げる考えを説明しています。
参考:Vogue Business「Can Asics Make Walking Shoes Cool?」
新モデルMOON AMBLEにも注目
その海外展開に向けた新しい商品として登場したのが、「MOON AMBLE(ムーンアンブル)」です。
2026年9月に発表された、ASICS Walkingの新たなフラッグシップモデルです。
特徴は、歩くときのクッション性や安定感を追求しながら、普段の街歩きにも合わせやすいデザインに仕上げていることです。
公式商品情報によると、靴底には独自のフォーム素材「HOPFOAM」を採用しています。
硬さの異なる2種類のフォーム材を組み合わせ、クッション性と歩行時の安定性を追求しています。
さらに、前足部には「WALK POD SYSTEM」を配置し、歩いたときの弾むような感覚を生み出す設計です。
つま先部分をカーブさせた靴底にも、歩きやすさを考えた工夫が見られます。
これらはメーカーが説明している製品の特徴であり、誰でも同じ履き心地を感じるという意味ではありません。
それでも、こうした新しい素材や構造を採用している点は興味深いですね。
かつては競技用ランニングシューズで技術を磨いてきたアシックスが、その研究を日常のウォーキングにも生かそうとしているのです。
また、MOON AMBLEはイタリアのファッション見本市「ピッティ・イマジネ・ウオモ」でも紹介されました。
機能だけでなく、デザイン面でも海外市場へアピールしようとしていることが分かります。
詳しくはアシックスウォーキング公式・MOON AMBLE海外展示会レポートでも紹介されています。
GEL-RIDEWALKにもアシックスらしい工夫がある
もちろん、ウォーキングシューズの進化は新しいMOON AMBLEだけではありません。
すでに国内で販売されている「GEL-RIDEWALK 2(1293A040)」にも、歩くための技術が取り入れられています。
GEL-RIDEWALKシリーズは、長い距離を歩くことを考えて開発されたウォーキングシューズです。
つま先をカーブさせた靴底など、歩くときの足運びを考えた構造が特徴です。
同じアシックスでも、METASPEEDのような競技用シューズとは、求められる機能が異なります。
速く走るためのシューズと、日常で気持ちよく歩くためのシューズ。
その両方を開発してきたメーカーだからこそ、幅広い商品を展開できるのでしょう。
クツミチでは、GEL-RIDEWALKのモデルごとの違いや選び方も紹介しています。
私たちの靴選びはどう変わる?
アシックスが世界で成長していることと、私たちのウォーキングシューズ選びは、一見あまり関係がないように思えるかもしれません。
しかし、ランニングやファッションの分野で評価されるようになったことで、ウォーキングシューズにも新しい商品が増える可能性があります。
これまで機能を中心に選んでいたウォーキングシューズに、服に合わせやすいデザインや、新しい素材を使ったモデルが増えていけば、靴選びはもっと楽しくなるでしょう。
ただし、新しい技術を採用したモデルや、デザインで人気を集めているモデルが、必ずしも自分の足や用途に合うとは限りません。
足幅や甲の高さ、普段歩く距離、歩く場所などによって、履きやすい靴は変わります。
だからこそ、メーカーの技術や商品ごとの特徴を知りながら、できれば実際に試着して選びたいですね。
現在販売されているモデルについては、クツミチのアシックスウォーキングシューズ総合ガイドでも紹介しています。
アシックスの人気についてよくある質問
アシックスはなぜ急成長したのですか?
ランニングシューズの販売拡大に加え、SportStyleやオニツカタイガーの成長が大きな要因です。
競技用シューズで培った技術やブランドへの信頼を生かしながら、普段履きのスニーカーやファッション分野にも商品展開を広げてきました。
2026年は通期売上高1兆500億円を見込んでいますが、これは2026年8月時点の会社予想であり、確定実績ではありません。
アシックスとナイキは何が違うのですか?
どちらも世界的なスポーツブランドで、ランニングを中心に高性能なシューズを展開しています。
両社とも厚底のレーシングシューズや普段履きのスニーカーを扱っていますが、モデルごとの設計や素材、履き心地には違いがあります。
ブランド名だけで選ぶよりも、用途に合った商品を比較し、自分の足との相性を確認するのがおすすめです。
SportStyleとランニングシューズは違うのですか?
SportStyleは、競技用シューズのデザインや技術を生かしながら、普段のファッションにも合わせやすくした商品カテゴリーです。
例えばGEL-KAYANO 14は、2008年のランニングシューズをベースに、街履き向けへアップデートしています。
一方、METASPEEDなどのレーシングシューズは、競技での速さを追求した設計です。
同じアシックスでも、使用目的が異なります。
アシックスのスニーカーはウォーキングにも使えますか?
アシックスには街歩きに使えるスニーカーもあります。ただ、普段の買い物に履くのか、毎日のウォーキングで長く歩くのかによって、選ぶモデルは変わります。
ウォーキングを目的に選ぶなら、歩きやすさを考えて開発されたGEL-RIDEWALKやPEDALAなどもおすすめです。
実際に履いて、足幅やかかとの収まり、歩いたときの感覚を確かめてみてください。
まとめ|技術とデザインがアシックスの人気を広げた
2021年の箱根駅伝で着用選手が0人だったアシックスが、2026年には60人にまで回復しました。
その間にMETASPEEDシリーズなどの開発が進み、トップランナー向けのシューズでも再び存在感を高めています。
一方、ファッションの世界ではGEL-KAYANO 14やGEL-NYCなど、かつてのランニングシューズのデザインを生かしたモデルが人気を集めています。
さらにオニツカタイガーも、海外のファッション市場で大きく成長しました。
こうした変化が重なり、アシックスの売上高は2021年の約4,040億円から、2026年には1兆500億円を見込むまでになっています。
私が特に面白いと思うのは、長年続けてきた競技用シューズの開発が、スポーツだけでなくファッションの世界でも新たな魅力になっていることです。
そして今、アシックスはその技術やブランド力を、ウォーキングシューズにも広げようとしています。
2026年に登場したMOON AMBLEや、国内で展開しているGEL-RIDEWALKシリーズを見ると、歩くための靴づくりにも新しい工夫が続いていることが分かります。
私たちが普段履くウォーキングシューズも、これからますます進化していくかもしれません。
ただし、人気のあるブランドだからといって、どの靴でも自分の足に合うわけではありません。
メーカーがどんな技術を使い、どんな用途に向けて作ったのかを知ることは、靴選びのよい参考になります。
そのうえで、自分の足に合う履き心地や好みのデザインを選びたいですね。
世界で成長を続けるアシックスが、これからどんな靴を生み出してくれるのか。
ウォーキングを楽しむ私たちにとっても今後の展開がとても楽しみです。
参考にした主な資料
- アシックス公式・決算説明資料
- スポーツデポ・シューズから見た2026年箱根駅伝
- アシックス・METASPEEDシリーズ最新モデル発表
- アシックス・GEL-KAYANO 14復刻に関する公式発表
- ASICS Walking・MOON AMBLE海外展示会レポート
- ASICS Walking・MOON AMBLE発表イベント
- Vogue Business・アシックスウォーキングの海外展開に関する取材
※企業業績や商品情報は2026年10月21日までに公表された情報をもとにしています。2026年の通期業績は会社予想であり、確定値ではありません。商品の仕様・カラー・販売状況は時期によって変わります。
